ソニー、光ディスクドライブ事業撤退 リストラにめど

 これは、重大発表である。Blu-ray Disc事業全体からの撤退開始をソニーが宣言したに等しいからだ。

 発表においては、光記録ディスク・ドライブの生産事業を停止するだけであるかのように述べられている、

  • しかし、このソニー子会社のドライブは、自社製BDレコーダーにも自社製PCにもPS3にも採用していて、様々なBDメディアとの間での相性改善のための摺り合わせを行なってきたものなので、他社製の安価なドライブに切り替えざるを得ないことは様々なBDメディアとの間での相性のコントロールが難しくなることを意味している。
  • また、発表を仔細に読むと、開発・設計部門でさえも大半を退職させるというのだから、実用品としてのBDメディアの方の開発力も大きく低下することになる。(現実的にビジネスとして投入可能なコストで実現出来るドライブの実物との間での摺り合わせが非常に困難を極める作業になってしまうから、BDメディアにおいては後追い主体の事業になるしか無い。つまり、事業継続してもコスト競争の渦に巻き込まれる運命)
  • これでは、大容量化による新規需要開拓のために多層BDメディアをどんどん実用化するというシナリオは放棄されたのだ…と観察するべきなのだろう。
  • つまり、BD事業全体からのフェードアウトを開始するのだということを意味している。小さな子会社のリストラにすぎないように見せかけている発表であるが、非常に重大な決定となる。

 ソニーが来年3月までにパソコン向けの光ディスクドライブ事業から撤退することが24日、わかった。国内外に約400人いる従業員の大半は、早期希望退職で削減する。巨額の赤字から立ち直るために進めてきた不採算事業の整理が、これでほぼ終わる見通しだ。

 光ディスクドライブは、CDやDVDを読み取る装置。ソニーでは子会社の「ソニーオプティアーク」(神奈川県厚木市)が手がけているが、この業務を来年3月をめどに終える。

(整理対象となる)従業員は

  • 国内に開発・設計部門など約90人
  • マレーシアの工場に約300人など。

一部は配置転換するものの、大半は退職させる。

 子会社の本社や工場はソニーの他の事業に転用する。(つまり、完全に消滅させる)

 この子会社は2006年にNECと合弁で設立され、08年にソニーの完全子会社になった。光ディスクドライブで世界市場の10〜15%を握り、年間数百億円の売上高がある。

 ただ、スマートフォン(多機能携帯電話)や板状のタブレット端末が普及するにつれてノートパソコンの市場が小さくなったり、海外勢との価格競争が激しくなったりして、近年は営業赤字に陥っていた。

 ソニーはテレビ事業の不振などが響き、12年3月期決算は純損益が4566億円の赤字になった。収益改善のため、画像センサーやゲームなどの中核事業に投資を集中させる一方、採算がとれない事業の整理などで来年3月までに従業員約1万人を削減する方針を打ち出した。

 これまでに、液晶パネル用の接合剤をつくる化学事業売却で約3千人、スウェーデンの携帯電話工場の縮小で約1千人などの大規模なリストラを決めた。今回の事業撤退で主な不採算事業の整理は終わり、残る数千人の人員削減は国内外の販売・管理部門などで早期希望退職を募っていく方針だ。(上栗崇)

ソニーが打ち出したリストラ策

  • 2011年12月 韓国サムスン電子との液晶パネル合弁事業を解消
  • 2012年04月 東芝日立製作所と中小型液晶事業を統合、従業員約2000人を削減
  • 2012年05月 シャープとの液晶パネル合弁生産を解消
  • 2012年06月 化学事業を日本政策投資銀行に売却、従業員 約3000人を削減
  • 2012年08月 スウェーデンの携帯電話開発拠点で従業員1000人を削減
  • 2012年08月 光ディスクドライブ事業からの撤退を決定

出典:
http://www.asahi.com/business/update/0825/TKY201208240706.html