ドラマや映画もデジカメ動画で撮影する時代
デジタル一眼レフによる動画撮影の画質の良さは知る人ぞ知る世界でしたが、日本でもTVドラマや映画にどんどん使われる時代になってきたようです。
その利点は、ビデオカメラよりも撮像素子のサイズが格段に大きいので(約35mm*24mm、対角線サイズでは 1.73インチ*1もあります)
- 主被写体を浮かび上がらせたり遠近感の表現のために背景をぼかす手法が使える。
- 感度もダイナミックレンジも良好で使いやすい。
一方、番組制作用ビデオカメラに使う撮像素子の大きさは、固体撮像素子が非常に高価だった時代に小さなサイズ(対角線サイズの公称値で約0.67インチ*2 )で標準化されてしまったために、ビデオカメラ撮影の番組では被写界深度が深過ぎて遠近感の表現がうまくできず映像制作では大変に苦労していたのです。
世界的には、この一眼レフの動画撮影機能を使ったデジカメ動画への大移動の動きはだいぶ前から始まっていて、主導しているのは日本のカメラ・メーカーです。今回、朝日新聞が日本の事例主体で記事にしました。
「デジタル一眼、動画もプロ級 ドラマや映画でも使用」*3
デジタル一眼レフカメラで撮ったハリウッド映画やプロモーションビデオ(PV)が急増している。魅力はグラビア写真のように「ぼけ」を使った表現。プロのカメラマンも「1台数十万円なのに、1千万円以上の業務用ビデオカメラにも撮れない映像だ」と評価している。
■AKBシングル曲のPVで
「映画みたいなトーンの映像が撮れた。いけると思った」。こう話すのは、凸版印刷の高橋栄樹ディレクターだ。
村上拓カメラマンとのコンビで、メジャーデビュー3枚目のシングルからAKB48のPVを手掛けている。2008年12月、キヤノンが売り出したばかりの「EOS5D Mark2」で11枚目のシングル「10年桜」のPVを撮影、プロが動画撮影に一眼レフを使う流れをつくった。
当時のAKBは駆け出しで、撮影費も使える機材も限られていた。村上さんの発案で一眼レフの動画機能を使ってみたところ、「グラビア写真が動いているような表現力に驚いた。結局、すべて一眼レフで撮りきってしまった」(高橋さん)。
AKBの人気が出始めるとPVが注目を集め、NHKの連続テレビ小説「カーネーション」やハリウッド映画「ブラックスワン」の一部など、国内外で一眼レフの使用が広がった。スウェーデンではテレビの生放送番組がニコンの「D800」で撮られているという。