ユニフィエの将来に暗雲?

ルネサス富士通・パナと事業統合断念 システムLSI」

 このニュースは、一見するとDIGAブルーレイレコーダーとは何の関係もないように見えるが、実はDIGAを特徴付けているシステムLSIであるユニフィエの運命を左右しかねない。

  • パナは、ユニフィエ製造のための最新プロセス技術の開発と製造のための投資負担に、既に耐えられなくなっていた。
  • 自社用システムLSIの製造設備と製造工場を、自社で所有することは、
    • そのシステムLSIの需要が莫大な時には、非常に効率的で優れたビジネス・プランである。
    • しかし、需要が予定ほどではなかったり予定を大きく下回るとなると、
      • 設備投資負担のために莫大な赤字を計上することになるので、
      • 競争力の中核である最新プロセス技術開発への投資さえもが継続できなくなってしまって
    • 競争力を失い、事業が行き詰まる。*1
  • DIGAもTVも、地デジ化バブルによる需要先食いの反動で、売上減少は凄いことになっている。
  • なにしろ、パナは数千億円という大赤字だから、切れるものは切りまくるしかない。
  • あるいは、大赤字を大義名分にして、負担は他へ(お上へ)押し付ける絶好のチャンスである。
  • DIGA用ユニフィエの開発速度が遅く、必要な機能を取り入れるのが大きく遅延していたためにDIGAの仕様が変ちくりんになっていたのは、こうしたことに原因があるのであろうと思われる。
  • こうした状況の中で、パナソニックは、ユニフィエを代表とするシステムLSI事業の継続に困難を来たし、システムLSI事業を富士通ルネサスと統合することに活路を求めようとしていた。
  • これは、一気にガラガラポンして、後始末を国へ押し付けることが出来る、敗戦処理の秘策
    • 製造設備もプロセス技術開発も切り捨てて、設計・開発に特化したファブレスメーカーに転換する。
    • 事実上の公的資金投入を仰げるのは間違いないという期待(笑う。裏で話は付いているのが普通)
    • 形の上では自分の手を汚さずに、人員削減を強力に実行。
  • ところが、国から資金を引き出し 人員削減を一気に実現できるという非常に美味しい敗戦処理の構想を正当化するには大義名分が必須である。もし、ルネサスが参加してくれないとなると大義名分に齟齬を来たし、下手を打つと頓挫するかもしれないという困った事態。
  • ルネサスの影の支配者である自動車メーカーにしてみれば、自動車用LSIを法外の低価格で供給させて来たルネサスが、事業統合の結果として なまじ力を付けたりして言うことを聞かなくなるかもしれないなんて悪夢は、絶対に許す訳にはいかない。
  • さて、どうするのか?

ルネサス富士通・パナと事業統合断念 システムLSI

 ルネサスエレクトロニクスが、水面下で交渉していた富士通パナソニックとのシステムLSI事業の統合を断念したことが12日わかった。海外企業への売却を検討するが、難航が見込まれる。同事業の切り離しで見込んでいた数千人の削減が、難しくなる可能性もある。

 売り先が見つからない場合、同事業を手がける子会社の「ルネサスモバイル」を清算する可能性もあるという。

 3社は昨年初めから統合交渉を進めてきた。工場や人員を減らして収益性を高める計画だったが、ルネサス産業革新機構の傘下で経営再建することが決まり、交渉が中断。先月、富士通パナソニックが先行して事業統合に合意した。

 交渉では、ルネサスの産業機器やカーナビ向けシステムLSI事業を統合範囲に含めるかどうかで対立していた。機構からの出資で財務状況の改善が見込めるため、ルネサスはこれらの事業を社内に残すことを決めたとみられる。

 3社統合が実現すれば、国内のシステムLSI事業が、東芝との2陣営に集約されるはずだった。富士通パナソニックにとってはルネサスの技術や顧客を取り込む目算が外れることになる。

出典:
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303120559.html

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*1:典型例は、SONYPS2では大成功したのにPS3では大失敗した教訓。