実は、USBケーブルが重要、原則は付属品を使う

 DIGAブルーレイディスクレコーダーに使う外付けハードディスクのような高速USB接続機器では、トラブルの原因がUSBケーブルであることも意外に多いのです。

なぜかって言うと、

  • 当初のUSB規格制定時に想定していた用途は、低速機器が対象であって、厳格さを必要としないものでした
  • ところが、現在のUSB接続の大きな用途は超高速データ転送です。
  • なにしろ、当初のUSB規格の対象は、ケーブルが引っ張られた時に本体が落下して破損する危険を回避するために、ケーブルが簡単に抜けることで危険を回避しようとして、わざわざユルユルの嵌合にしようと決めた(オイッ!)という のどかな時代の のどかな用途です。
  • しかし、それでは接触不良が起こりやすくて困るので、規格を守っている振りをしつつ、実は意識してキツキツのを特別に発注して自社製品には使うメーカーも登場し(抜く時に苦労するあの会社もあの会社もあの会社も、わざとやっているのかも知れませんよ!)。
  • 自社で独自にキツキツにした製品と、別の会社が別の方面から攻めて独自にキツキツにした製品とを組み合わせて使うとキツキツの度合いがきつすぎて不評だったりして(笑う)
  • かくして、世の中には、キツキツの製品相手であっても「抜く時に苦労しないようにと更にユルユルにした製品」も登場し。組み合わせによっては、とんでもなくユルユルの上にもユルユルのが出来上がってしまって(もう、笑うしかない)
  • これが単に挿抜時の感触の問題ならばいいのですが、電気的接続の問題に影響しているから困るんですよね。

笑い話の部分を強調して書いてしまいました(ふふふっ)。

規格が明確でないと起きることの典型例をもう少し挙げておくと、

  • ゴツいUSBケーブルは見映えが悪く取り回しも悪くてオシャレじゃなので、細くて柔らかくて白いUSBケーブルを高い金で特注する某オシャレPC屋さんが登場したりして(相手が充電池内蔵機器であるとか、接続機器の消費電力の値を明確に認識した上で動作保証しているとかの、自社関連製品の世界の中ならば何も考えずに買っても確実に動作保証してくれているという美しい花園に囲い込まれた極楽生活では問題が起きないのは確かなのですけれどね)*1 *2
  • 実害が出るのは、それを見て 外見だけを真似して、数ワットの駆動用電源を供給しなきゃならない機器のUSBケーブルまで細くて柔らかい海外3流メーカー製造のものを使ったりするとUSBケーブルの電気抵抗が思いっ切り高いのが混ざっていて*3電圧降下がひどくて「う〜ん、う〜ん、う〜ん」、PCとの組み合わせによってはスピンアップしません etc. etc.*4 *5

 しかも、現在でも、同一インタフェースが超低速機器の接続にも使われていて、そっちでは いい加減に作ったUSBケーブルでも問題無く動作しますから、下請けで作っている人達はこれで十分な品質と信じ込んでいる*6。このために、USBケーブルの中には、低速機器の接続限定ならば安心なんだけどなあという商品も堂々と混在しています。

 さて、あなたの使っているUSBケーブルは、どれくらいの速度での接続を検証して作られたものでしょうかねえ?


痛い目に遭わないためには、添付されてきたUSBケーブルを使うのが原則です。

 真面目なメーカーの付属品のUSBケーブルならば、手抜きなく作られ動作検証も十分に行なわれたものを添付しているはずです。それが、メーカーの信用というものです。


真面目じゃないメーカーの付属品USBケーブルは信用できるのか?
 信用しちゃいけません。過去に何度も問題を起こしていますから、現象が不安定な場合には真っ先に疑ってみるのが賢いかもしれません。

*1:某おしゃれPC屋さんは、オシャレのために巨額のコストを掛けていることを忘れちゃいけません。それと同じコストを払わずに、見掛けだけ同じ物を海外の外注に作らせてもコストに見合ったものしか作りません。

*2:実は、この御洒落PC屋さんこそが、さっぱり普及していなかったUSB規格採用製品を広く普及させた立役者なんですけどねえ(笑っていいんだろうか?)

*3:現在の大量生産では抜き取り検査だけしかしないのですよね、全数検査が十分に可能な場合でさえも。これが、生産しているのが自社のメンツに関わる自社ブランドの自社製品というわけではなくて、下請けとして作っているに過ぎないとなると、品質確保のためにどこまでコストを掛けるかという経営のバランス感覚としては、一定数の不良品を出荷してしまっても構わないからコストダウンの徹底が至上命令というのが現在の正しい経営の姿とされています。建前としては、発注した企業は不良品排除のために受入検査で弾いているから問題は起きないはずなのですが、実は自社ブランド製品の生産を海外EMSに丸投げ委託してしまっていたりすると、委託先のEMSとしては受入検査のようなコストばっかり掛かって利益を生まない工程は・・・

*4:もっと酷い話があって、同じ型番で同じ外見の外付けハードディスクなのに、後から買った方の中身のHDDは消費電力の最大値が大きなものに切り替えられて出荷されているなんてことも・・・。こんなのは動作する個体に当たった方がラッキーと思わなくちゃいけません。

*5:某おしゃれPCは、ちゃんと抜かりなくチートをやっていて USB接続への電力供給能力も規格破りに大きくしてある人工の極楽なのですから、外見だけ真似てもダメですよん!

*6:これが日本ならば、生産ラインでも手軽に使えるような低価格で高品質な測定器が登場してきて大量に安価に供給されて検査用機器が行き渡るのですけどねえ