DIGAのAVC圧縮の欠点

 よくDIGAブルーレイレコーダーのAVC圧縮の優秀性が喧伝されていますが、実はそれはそのまま欠点でもあることにも注意しないといけません。

 なぜかというと、DIGAで高圧縮率を実現できている秘訣の1つには、AVC圧縮の前に加工のための前処理で元映像を弄りまくっているというのがあるのですよね。

 このために、たとえ低圧縮率であっても、いったんAVC圧縮をかけてしまったら最後、精細感も遠近感も大きく損なわれることになります。

 遠近感を出しにくい現行ビデオカメラを使って苦労して表現されていた視線誘導のための工夫なんてのは、完全に意味を失ってしまいます。

 はっきりいうと、「作った絵」だということです。

 しかし、一方では、この前処理のお陰で、いかにもテレビらしい派手で見映えのするコントラストの高いパリっとした絵に作っていることが好評を得ていたりするわけです。
 実は、AVC圧縮後の絵のほうが放送映像よりも好ましいと感じる人達が非常に多いのも確かな事実です。でも、それは原画に忠実というのとは違った路線です。

 つまり、丸められてしまっているけど、クッキリハッキリの派手派手の映像というのが、パナレコのAVC圧縮映像の特長です。このことは、高圧縮時には非常に大きな価値があります。

 しかし、低圧縮率の時には、原画への忠実度が強く期待されているのですから、このパナソニック独自の絵作りの度合いを弱めてくれるといいのですけどね。


 結論としては、映画やドラマが大好きで、その製作者の意図を忠実に反映したオリジナルの映像を観たいという人は、パナレコではDRモードで録画というのが鉄則です。*1 *2

*1:一生懸命に制作されている映画やNHKの朝ドラをAVC圧縮されたもので観ると「ふざけるな」と言いたいくらいの勝手な絵作りにされてしまいます。評論家の皆さんは、何故これを指摘しないのだろう?

*2:AVC録画で過去に存在した大ポカとしては、動きベクトル推定の誤差(それとも実はバグ?)が大きすぎて、AVC圧縮録画にすると赤の画素が上手く追従せずにホワンホワン動き回っているというのもありました。これは重大問題のはずなのに、直して頂くまでに意外に時間がかかりました。AVC録画に求める画質はクッキリハッキリさえしていれば忠実度は余り重視していないのだろうか?何よりも不思議なのは、その世代のAVC録画に関しても評論家の皆さんが大絶賛していたことです。